外国人の彼氏ができました。
1章.出会い
レモンティーのように薄い金色、先のほうだけ少し黒みがかった亜麻色の髪の毛。
珊瑚礁やイソギンチャクが見えるほど透き通った海のようなブルーの瞳。
ラグビーが得意で、チームメイトからも頼られる彼の背中は、広くて筋肉でゴツゴツしている。

今日は月に1度のデート。
待ち合わせ場所に早く着いた私は、ブラックのコーヒーをお供に窓際の二人用のこじんまりとしたアンティーク調の席で彼を待つ。

「ゆいちゃん」

ガタリと椅子を引く音で伏せていた視線を上げると、今まさに思いを巡らせていた最愛の彼が、溢れんばかりの笑顔を携えてそこにいた。

「会いたかったよ、ゆいちゃん。僕はとてもあなたに会いたかったです」

「アーノルドくん、私もだよ」

ねー、と同調するように口ずさむ彼は、男の子がそんな言葉を使わないって知らないのだろうけど、きっと一生懸命勉強したのだ、取り立てて注意する必要もない些細なことに違いない。

『また傷増えてるよ。ほっぺ、痛くない?』

少し難しい会話をしなくてはならない時は、英語に変えるのだが、彼はそれが酷く不服らしい。

「その日本語、僕分かりますよ!痛い、でしょう?」

そんなドヤ顔されると、1つ年上で大男の彼が、なんだか幼稚園児に見えてしまうと言えば彼はまた怒るのだろうか。

「そうだったね、ごめんごめん」

「もう、僕は赤ちゃんじゃありませんよ!」

赤ちゃんとまでは思ってないのだが....
子供っぽい考えの人にbaby(ベイビー)と馬鹿にする英語表現は存在するが、それを直訳されると日本では違和感しかない。

「はいはい、そうだったね。ごめんね〜」

「今日はずっと!ずっと日本語で、お願いします!」

「はーい」

身長190cm体重128kgの大男は、荒々しいスポーツであるラグビーのおかげで傷こそは増えているものの、今日もとても楽しそうだ。
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