ピーク・エンド・ラバーズ
私の薄いリアクションに文句を垂れるわけでもなく、彼は満足そうに笑った。それから自分も大きく一口かじって、黙々と咀嚼する。
津山くんは意外にも、食事中にやかましく話しかけてくるタイプではなかった。
というよりも、今日はずっとそんな調子だ。今なら彼と美術館に行っても周囲の迷惑にならなさそうなくらい、静かである。
「西本さんさー」
「なに?」
「いま彼氏いるの?」
うわ、始まった。内心、悪態をついてしまう。
せっかく今日の津山くんとは穏やかに過ごせるな、と思ったのに。
学校での彼と同様、間延びした口調で薄っぺらい質問をしてきた様子に、私は努めて平然と返した。
「いないよ」
「ふうん」
「ふーんって。聞いてきたのそっちじゃん」
何なんだ、その舐め腐った態度は。
暇つぶしに私を選んだのだとしたら、彼のチョイスは間違っている。私は模範的な生徒で、面白みも何もない。だから、気を遣って面白い回答を寄越してやろうとも思わない。
残念だったね、ざまあみろ。私は絶対に、みんなの人気者・津山岬を可愛がってなんてやらない。
「俺はいると思う?」
「えー、知らない。いるんじゃない?」
「西本さんも興味ないじゃん」