ピーク・エンド・ラバーズ
素直に謝ると、津山くんの顔が上がった。
「……ちょっと言い過ぎたね」
目が合った彼は、想像よりもずっと弱っている。それを見て、ますます申し訳なくなった。
彼が私にとって気に食わないからといって、それが彼を貶めていい理由にはならない。
津山くんなら「酷いよ」と笑い飛ばすかと思ったけれど、想定していた反応とは真逆だった。
「いや……謝んないで。その通りだと思うし」
「流石に謝るよ。気にしなさそうだなって思ったから言ったけど、絶対気にしてるよねその顔」
ごめんね、と最後にもう一度付け足して、それとなく目を逸らす。
「……私、津山くんにはいつも馬鹿正直に言っちゃうから。反省は、してる」
売り言葉に買い言葉、ではないけれど。
へらへらと津山くんに向かって来られると、どうしても突き放したくなる。結果的に冷たい言葉や態度で返すことでしか、私は彼に抗えなくて。
「何か分かんないけど。痛い目見て欲しいからかな?」
「えっ? 待って。俺、西本さんに恨まれるようなことした?」
「いや、全く。何となくだから気にしないで」
「理不尽!」
きゃんきゃんと吠える津山くんに、安心して頬が緩んだ。
「何かやっぱり、こっちの津山くんの方が好きだな」