ピーク・エンド・ラバーズ
それは別にいいけど。そう返しながらも、本当に急だな、と内心思っていた。
よくよく考えれば、彼と電話をするのは初めてかもしれない。
あと少しで終わりそうだった課題を諦め、シャーペンを手放す。
気付けば部屋の中は既に薄暗く、スマートフォン片手に立ち上がって電気をつけた。
「何かあった?」
向こうからかけてきた割には、なかなか進展のない会話である。言いづらいことなのかもしれない。
私はなるべくなんてことない口調を装って、彼に尋ねた。
「あ……うん。西本さんに、用事があって」
そりゃそうだ、用事がないのに電話をかけないで欲しい。
小学生のような彼の返事に、そう言いたいのをぐっと堪えて「うん」と軽く頷く。
「西本さん、さ。…………クリスマス、空いてたりする?」
「クリスマス」
「あ、いや、空いてないなら全然いいんだけど、空いてたらその、嬉しいかなって思って……」
全く予想していなかった流れに、咄嗟に返す言葉が浮かばなかった。
ああ、そっか、クリスマス。そういえばもうそんな時期だ。今年の冬休みはしっかり勉強しないとなって、それしか考えていなかった。
「ごめん。クリスマスは多分、家族と過ごすと思う」