お見合い結婚~イケメン社長と婚前同居、始めます~

身体にまで力が入って、がちがちの私から一瞬藤丸さんの両手が離れたかと思うと、眼鏡を外された。

 

恐る恐る目を開けると、至近距離で藤丸さんが私の眼鏡を持っていて、ニコニコと機嫌がよさそうに微笑んでいる。

 

 

「やっぱりこっちがかわいい」

 「もう、返してください」

 「駄目。僕は、こっちの琴理ちゃんが見ていたい」

 



もう酔っぱらいのくせに。

酔っぱらいのくせに、藤丸さんの言葉は破壊力が半端ない。

 

 

コンタクトに変えようかな。

 

藤丸さんに言われたら、そう思ってしまうのは何故だろう。

 

 

私はろくな返事も出来ず、藤丸さんをぼんやりと見つめることしか出来ずにいた。

 

 

< 106 / 291 >

この作品をシェア

pagetop