お見合い結婚~イケメン社長と婚前同居、始めます~
身体にまで力が入って、がちがちの私から一瞬藤丸さんの両手が離れたかと思うと、眼鏡を外された。
恐る恐る目を開けると、至近距離で藤丸さんが私の眼鏡を持っていて、ニコニコと機嫌がよさそうに微笑んでいる。
「やっぱりこっちがかわいい」
「もう、返してください」
「駄目。僕は、こっちの琴理ちゃんが見ていたい」
もう酔っぱらいのくせに。
酔っぱらいのくせに、藤丸さんの言葉は破壊力が半端ない。
コンタクトに変えようかな。
藤丸さんに言われたら、そう思ってしまうのは何故だろう。
私はろくな返事も出来ず、藤丸さんをぼんやりと見つめることしか出来ずにいた。