お見合い結婚~イケメン社長と婚前同居、始めます~
「藤丸ハウジングと一緒になったら、紗和ちゃんモテモテだよ。きっと」
「赤井さん、何言っているんですかぁ」
ふと思ったことを口に出したら、紗和ちゃんは否定しながらも随分と嬉しそうに私をばしばしと数回叩く。
「この業界は男性が多いのに、全くモテないんですよぉ。30歳までに結婚しなきゃって最近焦っているんです。」
30歳までって…。
目の前にはすでに32歳を迎えた私の前でそんなこと普通に言える紗和ちゃんは、いつも大事なところで一言多い。
無理やり作った笑顔の口角が若干引きつるのが自分でもわかる。
「あっ!いえ、別に赤井さんが嫁に行き遅れているなんて思ってないですからね!!」
自分の失言にどうやら気付いてしまった紗和ちゃんは焦ってフォローを口にする。
「うん、大丈夫よ。紗和ちゃん」
ニコリと笑って見せたけれど、桐谷課長との件のことも重なって気分はどんどん落ちていく。