お見合い結婚～イケメン社長と婚前同居、始めます～

 軽く束ねた髪に長袖シャツを腕まくりしてファイリングする私の横で、シャツのボタンすら外さずに作業する紗和ちゃんを眺める。

 

 
「紗和ちゃん、それつけまつげ？それともマスカラ？」

 

横顔を眺めていた私に気付いた紗和ちゃんと目があってしまって、私は焦ってその長くてくるんとカールした睫毛について尋ねる。

 

「これですかぁ？マツエクです。まつ毛エクステ!!友達につけてもらったんですぅ。朝からメイクの時間を短縮できますよぉ」

 

 

紗和ちゃんは私が気付いたことが余程嬉しかったのか、まつ毛エクステをグイグイと勧めてくる。

 

紗和ちゃんは、何もしなくても私よりもずっとずっと顔面偏差値だって高い。

その証拠に、会社を訪れる施工業者や営業マンには明らかに紗和ちゃん狙いの人だっているし、紗和ちゃんの代わりに私が対応すると露骨にがっかりした様子の人だっている。