お見合い結婚~イケメン社長と婚前同居、始めます~
「藤丸さんね、「ことりちゃんのことしか覚えてない」ってずっと言っていたのよ。私そんな人初めてだったの。私が親友だって言ったら、すごく琴理のこと聞きたがって。その後は私も他の人と会話したりして、ほとんど話はしてないんだけどね。」


美夏からの話を聞きながら、藤丸さんの言葉に嘘はなかったことを改めて知る。


「ねぇ、聞いてるの?琴理」
「う、うん!!」

私が何も言葉を返さないせいで、美夏に突っ込まれてしまう。


「それでね、数か月前にたまたま取材で再会して、声をかけられたの。琴理とお見合いしたいって言われたの。さすがに驚いたし、琴理だって別れて、リストラされたばかりだったから遊びなら近づかないでって牽制したんだけどね」

照れを隠すかのように明るいテンションで、おどけたように喋る美夏の声に、鼻の奥がツンとした。


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