お見合い結婚~イケメン社長と婚前同居、始めます~
「大丈夫?」

 

私の視界に頭の方から覗きこまれる形で、藤丸さんの顔が見える。

 

どうやら私は足のしびれのせいでごろりと仰向けに倒れていて、それを受け止めてくれたのは藤丸さんで、枕のようにして頭が乗っかっているのはどうやら藤丸さんの太股で。

 

そんなみっともない姿の私を藤丸さんは、頭上から覗きこんでいるということが、この数秒間で何とか理解できた。

 

 

「だ、だ、大丈夫です!!すみませんでした」

 

さっきまでの怒りの勢いはどこへやら。私はその場にいることすら恥ずかしく、起き上がろうとしたけれど、足はまだ痺れている。

 

でもそれ以上に、私の両肩に置かれている藤丸さんの手が上体を起こそうとする私の身体を阻止していて、身体が自由にならない。

 

 

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