お見合い結婚~イケメン社長と婚前同居、始めます~
私が起きていたら気を遣うのかなって思って、藤丸さんが帰ってくるとドアに背を向けて寝た振りをする。
藤丸さんは律儀に小さくノックをして少しだけドアを開ける。
「琴理ちゃん、ただいま。…おやすみ」
私を起こさないように、私の背中に向けて小さく挨拶をくれる。
まぁ、私は起きているんだけど。
でもなぜだか、その声を聴くと私は安心して眠りにつけるようになった。
次に目が覚めるのは、藤丸さんの部屋から大音量の目覚ましのアラームが聞こえた時。
バタバタと慌ただしく、動き回る藤丸さんを邪魔にならないように自分の部屋で待つ。
コーヒーを淹れてあげた方が良いのかな。
朝ごはんってどうしているんだろう。
本当は、待つっていうより私はどうするべきなのかを悶々と考えていると、藤丸さんが出勤直前に私の部屋をノックするっていうのが本当のところ。
「琴理ちゃん、行ってきます」
凛としたスーツ姿は毎日見ても、惚れ惚れするほど様になっている。
「行ってらっしゃい」
そう言って、玄関まで見送ると、藤丸さんは白い歯を少しだけ覗かせて笑いながら玄関を後にする。
そんな日が、もう4日続いている。