その男、猛獣につき
先生を見上げて、その笑顔を見つめる。
私が見つめていたことに、気付いた先生が私を見つめ返してきたことに焦ってしまう。
「で、では…今日は本当にありがとうございました。また、あ・・・」
また、明日。
そう言おうとしたのに、その言葉は先生の唇によって封じられる。
ほんの一瞬、触れるか触れないかのキスが私の唇に落とされる。
私が言葉を失い、思わず唇を両手で押さえると、しっかり握りしめていたはずのコンビニの袋は音を立てて私の手から滑り落ちてしまう。
そんな私を見て、フッと口角だけをあげた先生は、地面に落ちてしまったコンビニの袋を拾い上げ、私に手渡してくれる。
「誕生日おめでとう、有田。じゃ、おやすみ」
先生は一言、静かに呟くように言うと傘を広げ、車の方へ歩いて行ってしまう。
おやすみなさい…。
伝えようと思ったけれど、あまりに急な出来ごとに頭の中はぐちゃぐちゃしていて言葉なんて出なかった。
私はその場から、しばらく動けずに、先生の車を見送った。
私が見つめていたことに、気付いた先生が私を見つめ返してきたことに焦ってしまう。
「で、では…今日は本当にありがとうございました。また、あ・・・」
また、明日。
そう言おうとしたのに、その言葉は先生の唇によって封じられる。
ほんの一瞬、触れるか触れないかのキスが私の唇に落とされる。
私が言葉を失い、思わず唇を両手で押さえると、しっかり握りしめていたはずのコンビニの袋は音を立てて私の手から滑り落ちてしまう。
そんな私を見て、フッと口角だけをあげた先生は、地面に落ちてしまったコンビニの袋を拾い上げ、私に手渡してくれる。
「誕生日おめでとう、有田。じゃ、おやすみ」
先生は一言、静かに呟くように言うと傘を広げ、車の方へ歩いて行ってしまう。
おやすみなさい…。
伝えようと思ったけれど、あまりに急な出来ごとに頭の中はぐちゃぐちゃしていて言葉なんて出なかった。
私はその場から、しばらく動けずに、先生の車を見送った。