その男、猛獣につき
先生の形のよい唇が私と重なる。

 

状況を飲み込めない私の頭の中を、さらに混乱させるような熱をもったキス。

この間、啄むように落とされたキスとは異なる、獰猛な猛獣に貪られるような感覚に陥る。




唇の隙間から、差し込まれた舌はあっという間に私の舌を探しだし、絡めあう。



ついさっき決意したことすら揺らいでしまいそうな程、体の力は抜けてしまい、頭がボーッとしてしまう。


「……せ、せ……、先生……っっ。」




私が発した言葉に、絡まった舌はすぐにほどけて、僅かに唇も離れる。


至近距離で見つめる先生の瞳が僅かに揺らいでいるのが分かる。


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