その男、猛獣につき

「もう、決めましたから」

 

先生をこれ以上苦しめるわけにはいかない。

先生への気持ちは封印して、実習に打ち込むしかない。

 

辛いとか、そんなこと言ってられない。

 

先生を真っ直ぐ見据えて、もう一度笑う。にっこりと満面の笑顔で。

 

先生への気持ちも、さよなら。

 

 

 

 

そう、決意した瞬間―――。

何故か私は背をもたれていた壁に押し付けられ、唇を奪われた。

 


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