その男、猛獣につき
事の始まりは、1週間前のことだった。
私の通うリハビリテーション専門学校の理学療法学科には3年次に8週間の実習のカリキュラムが予定されている。
40人しかいない理学療法学科のクラス。
そのクラスに衝撃が走った。
「釜谷、学校、辞めるってよ。」
「なんで?なんで?うちのクラスのエースなのに……」
「実習どうするの?」
ざわつく教室。
そこに担任のしげちゃん先生が入ってくる。いつもなら鼻歌位歌いながらやってくるのに、今日は明らかに様子が違っていた。