その男、猛獣につき
「さぁ、講義始めるぞ。」

ただそれだけを言ったしげちゃん先生に、クラスの男子が声をかける。


「先生、釜谷辞めるって本当っすか?」


しげちゃん先生はちょっとだけ渋い顔をして、頷いた。
シン、と静まりかえる教室。


「家庭の事情だそうだ。詳しくは本人から聞け。まぁ、時期が時期だから。もったいないと思うけどな。」


私達の専門学校は、毎年ドロップアウトはそう珍しいことではない。


勉強についていけない。
家庭の事情。
違う仕事を目指す。
様々な事情で、毎年ドロップアウトしてる。

実際、私達のクラスだって、入学の時から比べたら数人ドロップアウトしてる。



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