その男、猛獣につき
「ありがとうな、手伝ってくれて」
色違いのマグカップに淹れてくれたコーヒーの片方を私に手渡し、先生は私をソファーへと促す。
あっという間にぴかぴかになったリビングのソファーに座り、コーヒーを一口流し込む。
ブラックのほろ苦さが熱さとともに喉を流れていく。
「ごめん、砂糖とミルク持ってくる」
「大丈夫です。ブラックでも飲めますから」
「まだまだ味覚はおこちゃまだろう?」
クスクス笑いながら、私の返事なんて聞かずにキッチンから持ってきて手渡してくれる。
ありがとうございます、そう言って受け取ったミルクとコーヒーシュガーをコーヒーに溶かす。