その男、猛獣につき
自分でも嘆きたくなるほど、先生にうまく自分の気持ちを言えなくて気分が落ち込んでしまう。


これまでだって恋愛は、それなりにしてきたはずなのに…。
言いたいことや伝えたいことは、はっきり言えたのに。



先生には、自分の想いを全部伝えたら、きっと重い女だと思われるんじゃないかと思うほどに好きな気持ちが自分の中でいっぱいになっていて、伝えることすら尻込みしてしまう。

それは、相手が恋人の前にきっと私のバイザーだからだ。



結局、昨日と同じ考えが次から次へと溢れて来て、また考えが堂々巡りを始める。

 

「はあぁ」
私は大きなため息をこぼした。


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