その男、猛獣につき


「えっ。あっ、えっとぉ。どうしよう。」


私はオロオロしながら立ち上がり、10畳のADL室を急いで片付け始めた。


それを可笑しそうに見ている先生に気づかずに。


えっ、ん??

パソコンを急いでシャットダウンしたところで一瞬、ふと冷静になった。



先生を見ると、私の焦る姿が可笑しいみたいで、口元に手を当てて笑いを堪えている。


「先生、行くって何処に行くんですか?」




あっ、そうそう。

未だに笑いを堪えている先生は、少しだけ呼吸を整えるように前置きする。

「コンビニ。行かねぇの?この雨じゃ、自転車じゃ行けねぇだろ。」



神だぁ。
後光が指してるように、キラキラして見える。


「ありがとうございます‼」


先生の優しさが嬉しくて堪らない。

私は思わず満面の笑顔でお礼を言った。










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