その男、猛獣につき


☆★☆

「はい、興梠です。」

仕事が一段落した夕方、外線が入る。


「いつもお世話になってます。有田の担任の重光です。」

あぁ、巡回指導の件か……。



「しげちゃん、そのかしこまった感じ、止めてよ。」

俺の苦笑いに、しげちゃんは電話の向こうでコホンと1つ咳払いをした。



しげちゃんは、俺や敦也が学生時代の担任だった。

敦也の事故のこともあり、色濃い学生時代を過ごした俺たちは未だに何かあると集まっている。


担任だったしげちゃんとも今では同志のような関係だ。



「興梠、久し振りだな。どうだ?有田は。」

しげちゃん、どうだって聞かれても。



昼休み、竹内さんと嶋本さんに冷やかされた一コマが頭を駆け巡る。

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