シークレットな関係
魅惑のアフターセブン

恋人契約を結んだ翌日。

高橋に会ったらどんな顔をすればいいのか悩みつつ出社すると、バタバタと走り寄ってきた女子社員三人に囲まれた。


「おはようございます。何かあったんですか?」

「聞きたいことがあるの。ちょっとこっちに来て」


強い態度と声で促され、みんなの後について給湯室に入った。

背の高い子とぽっちゃりした子と細い子の三人に囲まれ、私は小さくなる。


「何でしょうか・・・私、何かミスをしましたか?」

「そんなことじゃないの。櫻井さん、昨日高橋課長とどこに行ったの?」

「一緒にタクシーに乗るのを見た人がいるのよ」

「最初からちょっと親しそうな感じだったし、あなた何者なの?」

「え、え、え?」


三人から矢継ぎ早に言われて混乱する。

上から下まで舐めるように私を見る子もいて、子供の頃の記憶がよみがえった。

そうだった。高橋とよく話す私に敵意を向けてくる女子がたくさんいて、何度かこうして囲まれたことがあったっけ。

睨むように私を見ていた女子たちの表情をありありと思い出してしまった。

自信家でイヤミな高橋のどこがいいのか、小学生の頃から女子に人気があった。

あのころ私と一番仲がよかった子も『ちょっとイジワルなところがいいの~』と目の中にハートを浮かべていたっけ。

モテぶりは大人になっても変わらないのか。

顔が整ってるところだけは認めるけれど性格は王子気質で、彼氏にはとてもオススメできないのに。

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