恋色風船
第四章
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「ん~、なかなかいないよぉ。32歳で、そこまでのレベルの男の人」

律子が感に堪えないように、つぶやく。


「でしょー、成金っぽくもないしさ。やることなすことスマート」


ようやく陽射しがやわらかく、吹く風が爽やかに感じられるようになってくる時期だ。


麻衣と律子は、オープンカフェの最前列に陣どり、おしゃべりに興じる。


ななめ後ろの席に座る、安っぽいスーツの男がちらちらと視線をよこす。
あわよくば、きっかけを作ろうとしているのか。

むろん一瞥もしない。
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