水男(ミズオ)
高山の言葉を聞いてじっと
目をつぶる平野。


警視庁のロビーに
しばらく静寂が戻る。


そして目を開いた平野は
高山を見つめてこう言った。


「わかりました。じゃあお聞きします。


そのタクシーのナンバープレートは
何番ですか?」


「え?とっさのことで
よく覚えてないんですけど」


「そのタクシーの会社名は
わかりますか?」


「えーと……

緑色のタクシーだったのは
覚えているんですけど


会社までは……」


腕組みをして天井を見上げる
平野。


「あなたの証言はあやふやですね。
これでは私も動くことはできません。


それにあなたは俊介さんを嫌っていますよね?


と、すれば答えは一つだけです」


じっと高山をにらむ平野。


「あなたは俊介さんを陥れるために
うそをついていますね?」


「そんなわけない!俺は本当に
見たんだよ。

あいつが美里と一緒にいるところを……」
信じてくれよ!」



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