水男(ミズオ)
高山は予言の魔女のカードを
投げ捨てて


自分の右手を握りしめた。


固く握られた拳を
じっと見つめる高山。


高山はある恐ろしい推測に
行きついてしまったのだ。



小学生の時の殺人事件と
犯人の死。


今回の失踪事件。


ボク。


必殺仕事人。


そして予言の魔女。



すべてが高山の頭の中で
一つの線につながった。


証拠はない。


証拠はないが
高山の中で


その推測は
確信に変わりつつある。


「後ろに立っていた子はなぜか
自分のことをボクと呼んでいた」


次々とよみがえる記憶を
手繰り寄せる高山。


握りしめたこぶしを
今度はゆっくりと開く。


汗をかいた自分の手のひらを
じっくりと見つめる。


「一つだけわかることがある。


ボクが俺の考えている人物
だったとしたら……」


そして今度はなぜかピースをする
高山。


鬼気迫る高山の様子を見て
カードゲーム屋の客がドン引きして

見つめている。



「亜美は無事だ。間違いない」




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