水男(ミズオ)
亜美が両手を差し出す様子を見て
平野は首をかしげる。


そして優しい目に戻った平野は
亜美に尋ねた。


「亜美さん。どうしてなんですか?
教えて下さい。


私にはどうしてもこう思えて仕方がないんです。


亜美さんは私に
捕まえてほしがっているんじゃないかとね」


平野の言葉に亜美は何も答えない。


ただ


小学生時代から何も変わらない
いたずらっぽい視線を


平野に向けるだけ。



「ベイエリアのレストランのウェイターが
あなたと俊介さんが一緒に居たと


証言しています。


それに
マンションの防犯カメラにも
あなたの姿がはっきりと映っていました。


あなたほどの人が
これだけの証拠を残すなんて


明らかにおかしい。


あなたなら
何の証拠も残さずに


俊介さんを殺すことなんて
わけもないはず。

どうしてなんですか?


どうしてこんな目立つような
事をしたんですか?」

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