【改訂版】キスはする。それ以上も。けど、恋人じゃない。
悪夢の始まり



それは、いつからだろう。


他とは違う、自分という存在に自覚を持ち出したのは。



『媛華ちゃんは本当にお姫様みたいねぇ』


『本当、可愛くてとっても礼儀正しいわ』



物心ついた頃から、私は近所でもちょっとした有名人だった。


自分の容姿には嫌でも気付いてた。


小さい頃から大人達の噂によく上っていたし。


娘大好きな親も私の自慢ばかりだった。



ちやほやされれば人は付け上がる。


誰かに媚びたりもする。


でも私には、何かが欲しいというこれといった固定的な欲がなかった。



ただ平静に、平凡に過ごせれば満足だったんだ。


結局そんな小さな願いも、この目立つ外見のせいで諦めざるを得なかったけど。


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