専務とお見合い結婚!?
ゾワゾワッと全身が何かを駆け抜けていくような感覚がして、固まってしまう。
26歳にもなって、こんな事でいちいち反応するのも恥ずかしい事かもしれない。
仕方ないじゃない……。
自分に必死に言い訳をしながら、何とか落ち着こうと咳払いをする。
「慶一郎さん、わかりました。この話を進めて下さい」
「……もちろん、最初からそのつもりだったよ。オレはキミにイエスと言わせるまで、帰すつもりなかったからね」
私じゃない誰かと婚約して胸を痛めるのなら、専務の本心が見えなくてもいいから、そばにいさせて欲しい。
そう……思ったんだ。
夢のようなチャンスなんて、もう二度とめぐってはこないだろうから。
「よろしくお願いします……」
「こちらこそよろしく。オレの大事な婚約者さん」
そう言って、専務……慶一郎さんは、私に今日二度目のキスを落とした。