ボディーガードにモノ申す!
9、 自分の身は自分で守らなくてもいいのですか?


ボディーガードが真山から和代さんへ変わってから、1週間ほど経った。
あと少しで警備会社『ニシジマ・セキュリティー』との1ヶ月という契約が切れる。


今後の自分に不安を感じなくもないけれど、和代さんに教えてもらった護身術のおかげで少しは自信を持てたような気がした。


「私は心配だけどなぁ、椿がまた襲われるんじゃないかって」


お昼休みに近くのイタリアンレストランで親友の清恵と合流し、ランチをしているところだ。
清恵はシーフードのジェノバパスタを口に頬張りながら、私をまじまじと見つめてきた。


「だって通りすがりの変態じゃなくて、椿を狙って襲った可能性もあるんでしょ?怖くない?」

「そりゃ怖いけどさ……」

「いっそのこと思い切って引っ越したら?」

「今のアパート住み慣れちゃったし、引っ越しの準備が面倒くさいんだもん。それになによりもコンビニとスーパーが徒歩圏内で欲しいものが好きな時に手に入るっていうかさ」


熱々のエビドリアをフーフーして色々と言い訳をしていると、清恵が呆れたように目を細めた。


「えぇ、なにそれ。てゆーか考えてもみなさいよ。隣に住んでる男が容疑者なんでょ?」

「杉田さんを容疑者呼ばわりするのはやめてよ。私はいい人だと思ってるんだから。怪しいって言ってたのは真山」

「あともう1人、カフェのバイトくんだっけ?」

「貝山くんね。単なる思い過ごしにしか感じないんだけどなぁ……」


私には2人ともそんなことをするような人には見えないし、何をもって「怪しい」と思うのかが理解出来ない。
だけど和代さんのススメもあって、その2人を避けて生活する日々は相変わらず続いていた。


< 124 / 153 >

この作品をシェア

pagetop