ボディーガードにモノ申す!


「きっと今頃、犯人の男は焦れてるわよ。椿と最近会えないなって思ってるはずだもの」


そうではないと信じたいが、清恵の言うことはありえなくはない。
最近は帰りが怖いので休みの日にあまり外出しないようにしたり、出かけても夕方にはアパートに着くようにしていた。


そんな生活をずっと続けていくのは私としてもツラい。
早いところ解決させたいのが本音だ。


「いっそのことさっさと現れてくれた方がいいよね。その新しい女のボディーガードの人にぶちのめしてほしいし!」


物騒なことを口走り、清恵はファイティングポーズをとってシャドーボクシングを始めている。


「まぁ、1人の時に現れるのだけはやめて欲しいところだけどね」

「灯台もと暗しってヤツで、意外とあんたの職場の店長さんかもよ?ほら、あのメジャーリーガーによく似てる人!」


何度かお店に遊びに来たことのある清恵らしい発想ではあるが、私はそれを即座に否定した。


「橋浦さんね。あの人は絶対ないない。そもそも襲われた時、橋浦さんは遅番でお店にいたんだもの。それに、むしろ早くオトコを作れだの結婚に焦った方がいいだの、焚きつけてくるのは橋浦さんなの。彼が私を襲うなんてことは天と地がひっくり返ってもありえないわ」

「なんだぁ、つまんない」


親友の一大事だというのに、清恵は面白半分といったところらしく盛り下がって頬を膨らましている。
「つまらん」とは失礼な!


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