たとえ声にならなくても、君への想いを叫ぶ。
 


視線の先。

そこには真っ直ぐに本棚を見つめている、樹生先輩の姿。


だけどそれは、本を探している風ではなく、ただただ、そこに佇んでいるだけのように見えて。


その姿に違和感を覚えた私は、必然的に眉根を寄せた。


ゆっくりと視線を下に落とせば、先輩の拳は強く握られ小さく震えている。



(……先輩?)



色のない、瞳。


普段から大きな感情の変化を見せるわけではない先輩だけど、今はそんな普段とは違って、何かを自分の中で押し殺しているような。


何かを思い詰めているような……、そんな風に見えて、



「─── っ、」



と。

そんな思考を巡らせながら先輩の横顔を見つめていると、不意にこちらへ視線を向けた先輩と目が合った。


 
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