たとえ声にならなくても、君への想いを叫ぶ。
(……この本、返却日は今日だった)
改札を抜け、電車に乗り、鞄の中に忍ばせた本に手を伸ばして思い出した。
もう読み終わってしまっているその本を持ち、いつも通り最寄り駅で降りた私は、通い慣れた図書館へと足を運んだ。
図書館に入り、返却口で本を返すと足は自然と本棚の森へ向う。
そこでもついキョロキョロと視線を動かしてしまう自分は、それが癖になってしまっていることにも気付かない。