たとえ声にならなくても、君への想いを叫ぶ。
 


とても綺麗な容姿を持った彼。


そんな彼は、どうやら温かな心も兼ね備えているらしい。



「まぁでも、次からは本当に気を付けてね。難しいかもしれないけど、なるべく女の人の近くにいた方がいいかも」



だけど、淡々とそう言う彼の言葉を聞きながら、ふと一つの疑問が頭を過ぎる。



(あの時、痴漢を捕まえようと思えば出来たんじゃないのかな……?)



言葉にして尋ねたかったけれどそれは出来ないし、あの時私はパニックで状況もイマイチ把握できなかったし……


それに、本当に取り逃がしてしまったのかもしれないし。


助けてもらったくせに、そんなことを尋ねるのは失礼だし、それを思うことさえ申し訳のないことだ。


というか、私一人だったら駅員さんに報告に行く、なんてことさえ思いつかないで、ただただそのまま泣き寝入りだったなぁ……



と。

そんなことまで考えて、私はふとホームの電光掲示板に映された時間に目を見張った。


 
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