たとえ声にならなくても、君への想いを叫ぶ。
 


「……おはよう」


「……っ!」



艶のある甘い声。弾けるように顔を上げれば、5日ぶりに会う、大好きな樹生先輩の姿があって、思わず瞬きを繰り返した。



「……久しぶり、なんて。たった5日だけど」


「……っ、」



何気ない先輩の言葉に、胸がキュンと高鳴ってしまう。


だって、久しぶり、なんて。たった5日を長い時間に感じていたのは私だけではないのだと、勘違いしてしまいそうだ。



「幼馴染みくんとは、無事に仲直り出来た?」



柔らかな口振りでそう言った先輩は、きっとその答えも全てお見通しなんじゃないかと思う。


先輩の質問に小さく頷いてから、「ありがとうございます」と口の動きだけで伝えると、先輩は私の髪にそっと手を伸ばして───


その手を私の頭に乗せることなく戻すと、「良かった」と言葉を零し、静かに目を細めた。


 
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