たとえ声にならなくても、君への想いを叫ぶ。
 


一見すると要領もよく、世渡り上手かつ、恵まれているような印象を与えられる先輩のライフスタイル。


けれどその全ては、先輩が今日まで重ねてきた努力の賜物であることを、私は知っている。


先輩は、そういう努力を表面に出さない人なのだということを、この短期間で思い知ったから。


まず、第一に。先輩が図書館で勉強するのも、家の電気代を少しでも節約する為なのだということ。


お父さんからの生活費の仕送りの中には、高校生である先輩が遊ぶ為に必要なお金も含まれていたらしい。


けれど先輩は、それには一切手を付けていなかった。


もしもの時の為に、その分のお金を将来大学への進学費用にさせてもらおうと思っていたらしく、自分のお小遣いともなるお金は、バイトをして稼いだものを使っていたんだとか。


更には、廃棄のお弁当を貰えるからということで、コンビニのアルバイトをしていたんだということも、先輩が世間話の中で話してくれた。


そんな、アルバイトと学校生活、更には医学部受験をするようなレベルの勉強の両立が、どれほど大変なものかは私には到底想像もできない。


けれど、先輩がこうして朝早く登校する理由も、朝早くに学校に行って静かな教室や図書室、資料室で勉強をするためで。


そうやって、コツコツと重ねてきた先輩の努力が全て、今回の受験に繋がっているのだ。


 
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