たとえ声にならなくても、君への想いを叫ぶ。
 



* * *




「だ……誰がやったんだよ!ふざけんな……っ!」



声を荒らげる蓮司は、怒りで拳を震わせていた。


黒板の前に立ち、堂々と書かれたその言葉を呆然と見つめることしか出来ない私の肩を抱き、寄り添うように立ってくれるアユちゃん。


けれど今は、蓮司の怒りに満ちた声も、アユちゃんの温もりも、何もかもを感じることができない。


小さく震える手。

冷たくなった唇。

焼けたように熱くなった喉。



「こんなことして、恥ずかしくねぇのかよ……っ!!」



今は、零れそうになる涙を必死に堪えることしかできない。


 
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