たとえ声にならなくても、君への想いを叫ぶ。
 


そこまで言うと、「俺が会いに行かなきゃ……。全部俺のせいで、本当にごめん……っ」と、頭を抱えた蓮司を、それ以上責める気になんてなれなかった。


だって……蓮司が悪いんじゃない。


悪いのは、その犯人の先輩と─── こんなことに樹生先輩を巻き込んでしまった、私だ。


全部私のせいで、こうなった。


私に関わってしまったばっかりに先輩は───



「っ、栞!?」


「っ、」


「ん?おお、平塚。もう、体調はいいのか?ホームルーム始めるから席につけよぉ」



けれど、先輩の元へと駆け出そうとした足は、タイミング悪く教室に入ってきた先生によって止められてしまった。


私を不思議そうに見下ろす先生に、慌てて事情を説明しようと頭の中で考えたけれど、なんと説明したらいいのかわからなくて。


結局私はそのまま自分の席に戻る他なくて、ホームルームが終わるまで、震える手を制服のスカートの上でひたすらに握り締めるしかなかった。


 
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