たとえ声にならなくても、君への想いを叫ぶ。
 


「王子様って、どんだけ夢見がちだよ、バカ!携帯小説と漫画の読み過ぎだろ!!」



そんなアユちゃんへ悪態を吐いている蓮司は、鳴らしていた指を解いて机を叩きながら、今日も左耳に2つのピアスを光らせている。


幼馴染みで、小さい頃から一緒にいるせいかイマイチ理解に苦しむけれど、蓮司は蓮司で女の子達からとても人気がある……らしい。


アシンメトリーショートの髪はオシャレにセットされ、笑うと八重歯の見える蓮司は背も高く、サッカー部でキャプテンを務めるくらいに人望も厚い上、運動神経もいい。



(……考えてみたら、モテる要素をたくさん持ち合わせているよね、蓮司は)



本人もそれを自覚済みで、よく“俺カッコいい論”を冗談で振りかざす。


そして、アユちゃんに鋭いツッコミを入れられたあと、私に2人が同意を求める─── というのは、私達のお決まりの笑いのパターンだ。



「あらあら、蓮司くんてば王子様に、ヤキモチですか~?大切で可愛い、"ただの幼馴染み"の栞が、他の男に助けられたから、って」


「(……ヤキモチ?)」


「バ……ッ、バカか!!んな訳、あるか……!!」


「へぇ~、ふ~~ん?」


 
< 39 / 475 >

この作品をシェア

pagetop