たとえ声にならなくても、君への想いを叫ぶ。
 


“ ねぇ、先輩 ” “ どうした、栞? ”



最後に、そんな風に言葉を交わしたのはいつだろう。


すぐ隣で笑い合い、声にならない言葉を交わし、優しい彼女に触れたのはいつだろう。


だけど、どんなに距離が出来たって。


どんなに手放そうとしたって、なにもかも手遅れなのだと思い知る。


─── だって、俺にはいつだって、栞の声だけが鮮明なのだから。



「っ、」



ゆっくりと立ち上がった先。


俺は手に持った本を握り締め、図書館の貸出口へと向かった。


一歩外に出れば何日か前にも、寒空を染めていた雪の華。


そんな雪の華が咲く街を、俺は決意に燃える心を抱えながら真っ直ぐに顔を上げて歩いた。



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 『Schizanthuses(シザンサス)』

 あなたと一緒に


 
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