四百年の誓い
 圭介はそう信じているし、アドバイスしたものの。


 先の見えない未来に期待を美月姫に抱かせることに対し、不安があることも否めない。


 二人がいずれ手にするであろう「幸せ」というものが、どんな形でもたらされるのかが想像できなかった。


 二人の願いが叶うのは明日かもしれないし、もしかしたら十年後、二十年後かもしれない。


 年老いて命を終える直前かもしれない。


 人生で一番美しい時間を、待ち続けることによって台無しにしてしまう可能性もある。


 前世からの宿命により、二人は絶対に幸せになれる、幸せになければいけないと圭介は信じている。


 ただ、丸山幹事長の権力は絶大だった。


 永遠なんてこの世に存在しないはずなのに、まるで永久に丸山王国が存在するのだと、誰もが思い込んでいるほどに。


 中庭の木々は夏の終わりの風を受け、深い緑色の葉が揺らめいていた。
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