四百年の誓い
 「そ、そうなの。一応」


 二人の事情を説明してもややこしくなるので、美月姫は話を合わせた。


 「やっぱり、東京の人は違うね」


 友人は感心する。


 「そうかな。出身は函館だけど」


 函館、って言っちゃってまずかったかな、と美月姫は少し後悔。


 まさかこの同級生の口から、全てが公になるとまでは考えられないけれど。


 何かの発端になってしまい、いずれは自分を窮地に追い込む危険性はある。


 「でもどことなく、空気が違うよ。都会っぽく洗練されている感じ」


 同級生は美月姫の不安など予想だにせず、無邪気に羨んでいる様子。


 優雅はかなり裕福な生活をしているけれど、ブランド物に執着するとかでもなく、服装などは周囲の大学生とさほど変わりはない。


 ただ、生まれ持っての気品というか、育ちの良さそうな雰囲気を身にまとっている。


 「あんな素敵な人がいるんなら、大村さんが大学内の男子に言い寄られても、全然心が揺れないのも納得だね」


 羨ましそうに友人は次の教室に移動していった。
< 64 / 395 >

この作品をシェア

pagetop