二人の穏やかな日常

「やっぱ女は顔なんだよなー結局。やってらんねえよ」
「いやだって今モデルって話でしょ?モデルになるにはそりゃ良い容姿が必要だって」


別にホーリーがモデルを目指すなんて寝惚けたこと言い出さなければ、格好良くもなければ不細工でもない全然普通の顔してるわけで。

それは大いに結構だ。

まあチビだけど。


「お前らだって結局イケメンに言い寄られたら中身なんて考えずにほいほいオッケーするんだろ」


やさぐれるホーリーは私とちっちに拗ねるように言い放った。

ホーリーは、チビで元気で、イケメンが嫌いなわりに自分はイケメンだと言いはるタイプ。


「何こいつくそめんどい。ね、まえほっぴー」
「いやちっちは知らないけど私は違うから」
「……!裏切った!」

「前原ー!なんかお前のこと呼んでるー!」


三人で言い合っていると、ドアの側でクラスメートが大きな声で私を呼んだ。

見ると、教室の外には見知らぬ人も立っている。


「おおっとあれは、イケメンで有名なD組の富井和樹くん!」
「噂によるとまえほっぴーのこと目つけてるとかなんとか」
「説明口調ありがとう。そんな奇妙な噂が。ホーリー見とけ、私が男は顔じゃないってとこよく見せてやるから」


ぽかんと口を開けたままの二人を背に、気合い入れて富井くんの元へと向かった。
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