二人の穏やかな日常

「交際の申し込みでしょうか」
「うんまあ……そう……」



富井くんは照れくさそうにはにかむ。
それは決して悪印象ではないしとても素敵だ。


だけどやっぱり私の中には、恋愛に踏み出すほどのエネルギーというものが存在しない。


「すみません。話したことない人とはお付き合いできません」
「……そう、だね。うんそうだよね」


眉の垂れ下がった笑顔と何度も繰り返される頷きは、逆に悲しい。
私も、罪悪感を感じる心はある。


「すみません」


ホーリーへの証明云々を抜きにしても、私は富井くんを振っていたと思う。

富井くんがイケメンだろうがブサメンだろうが、話したことあろうがなかろうが。


恋愛というのは、とてもエネルギッシュな人間のすることだと思う。私には、到底向いてない。

あとさっきから、徐々に教室の中からも外からも視線が集まってきてるから、早く解放してほしい。

富井くんは慣れてるかもしれないけど、私には非日常だ。


「いやいや俺も急でごめんね。そうだね話したことない人から付き合ってくれとか言われてもね。うん、じゃ……これから、見かけたら話し掛けても良いかな?」
「は?」

< 12 / 180 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop