Office Love

-2

日曜の朝、清々しいくらい良いお天気。
こんな日はお洗濯するのが一番だと思いながらも、目一杯オシャレをした自分の姿を鏡に映して最終チェックをする。

午前9時。
マンションの前に1台の車。
昨日、レンタカーを手配したのも私。
それを乗り付けてここまで迎えに来てくれたのは、


「おはようございます、市埼さん。」
「おはようさん、今日も可愛えぇね、彩葉ちゃん。」
「なんで、お前が先に彩葉に挨拶しとんねん。おはよ、彩葉。」
「おはようございます、平川さん。」
「平川さんやて。真子、想い人のままなんちゃうの?」
「ちゃうわ!!彩葉も“平川さん”って何やねん。“真子”て呼べ、、“真子”て!」


クスクスクスと笑いを噛み殺せば、真子さんにポンと頭に手を置かれ、車へと促された。


「美咲ちゃんはどこで拾うん?」


ゆるい京訛りが私に聞く。


「駅のロータリーで。」
「なんで、そないなとこ?」
「そんなん決まってるやんけ。お前に家、教えたないねや。」
「えっ?そうなん?」
「違いますよ。彼女、私たちと違って、2駅も向こうなんです。だから、こっちの駅まで出て来てくれるって。それに目的地と反対方向ですし。」
そうなん?けど、そんなん迎えに行ったったのに。



と、紳士的な言葉なのか、下心ありありなのか、市埼さんだからこそ、紳士的な言葉に取れるのかな、なんて考えながら、車が発進するのを身体が感じた。



***


『市埼さんが本気だってわかったら、いくらでも協力しますよ。』



そう宣言したのは先週の半ば。
どうやって彼は本気を見せるのだろうと思っていた矢先、オフィスの自席で急に立ち上がり、何をするのかと思ったら、


『僕な、今日から、【社内イチ女誑し】の称号返上するわ。』


と、声高々に宣言した。
誰もが唖然とする中、その宣戦をされた当の本人は聞く耳も持たず、パソコンと睨めっこ。
なんだか、そんな市埼さんがあまりにも可愛くて、


『来週の日曜日、美咲とどこか出掛けませんか?』
と、提案した。


臨海部の大型ショッピングセンターと共に隣接された大型水族館。


「今日はお誘いありがとうございます。」


真っ白なレースのワンピースに揃いのボレロ、クルクルとカールされた茶色い髪はフワフワしてる。
オフィスとは一味違った美咲の印象に市埼さんはさらにノックアウトな状態。
車の中でも、何回も『前見て運転してくださいっ!!』と注意するくらい美咲に見惚れてる。


当の本人は


「市埼さんと平川さんとご一緒出来るだなんて、嬉しいです!」


と、要らぬ名前まで出て来て、市埼さんは少々拗ね気味。
美咲に何の裏もないのは私にはわかってるから、その様子を微笑ましく見つめるだけ。
さぁ、後は市埼さんが、美咲をどう落とすか?
私達は見守るだけ。





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