Office Love
遊覧船から降りたらもう結構暗ろうなってて、これからどうしよか?考えてたら、っていつもの僕なら即お持ち帰りなんやけど、美咲ちゃんにはそないな事はせーへん。


「美咲ちゃん、この後どないする?行きたいとことかある?」
「彩葉さん達とは、もう合流しないんですか?」
「えっ?真子ら?そやな、どこでおるんかもわからんし、何で?気になる?」
「いえ、気になるとかじゃなくって、朝一緒にきてたのに、わかれちゃったから。ただそれだけです。」
「ほな、電話してみるわ。けど、もし二人がお取込み中やったら諦めてや。」


口角の端を上げて言うてみるものの、美咲ちゃんは言葉の真相わかってんねやろか?


ルルル・・・・・ルルル・・・・・ルルル・・・・・


『はい、平川ですけどぉ』
「なんで、僕やてわかってんのに、名乗るねん?」
『そんなん、電話やさかいやん。で、何や?美咲ちゃんに振られたか?』
「アホ言いな。美咲ちゃんが、真子らの事心配してるから。合流でけへんか?」
『ええけど、お前らどこでおるん?』
「まだ、水族館の近く。」
『お前、車やろ。俺ら――でおるから迎えに来て』


「近くおるみたいやから、合流しよか。」


そう言うたら、美咲ちゃんの顔、パァっと明るうなったような気したわ。
ま、僕みたいな折り紙付きの女誑し、警戒されて当たり前か。


**********



「で、上手いこといったんか?」


真子に会うて開口一番、聞いてきた。


「ま、ぼちぼちってとこやね。」
「ぼちぼちってなんやねん?上手いこと、いったか、いってへんか、の二択ちゃんけ?」
「僕に気あるんはわかってんけど、警戒されてるから。」
「なるほどな。ま、しゃーないわな。何せ、お前は、【市埼ギン】やから。」


僕らが話してる間に美咲ちゃんも彩葉ちゃんになんか言うとるみたいやね。
得てして、ええ報告か?悪い報告か?


このまま真子らと一緒やったら、今日は美咲ちゃんのこと落とされへんな。
次ってあるんかいな?と、思いつつ、夜の砂浜を歩いてる。


美咲ちゃんが、飯食べた後、海が見たい言い出したからや。
秋口の海なんか、だ~れもおらへんけど、海風がなんや気持ちええな。
彩葉ちゃんも美咲ちゃんもヒール履いてきてんのに、どんどん砂浜を進んでく。


「市埼さ~ん!!」


砂浜の真ん中から大きく手を振って僕を呼んでるわ。
って、やっぱりヒールやからよろけてるやん。


「いけるか?」


グッと腕を掴んで、胸に押し込める。
あっ、なんかラッキーかも。


「あ、ありがとうございます///」
「手、繋ぐ?歩きにくいやろ?」


ゆっくり口角の端を上げて、言うといた。


「良いんですか?」


あれ?いつもの天然小悪魔ぶりは発揮せーへんの?
えらい素直やなぁ。ま、嬉しいけど。
ギュッと美咲ちゃんの手握ったら、握り返してくれたことにびっくり。
どうやってこっから進展させれるねん?って・・・・・


「このままで良いですか?ずっとこのままで////」


やっぱりこの子、計算ずくの小悪魔やん!!!
あー、ほんまに僕が堕ちたわ。堕ちてしもた。






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