Office Love
部下から今日のこれらかの予定を聞かれ、胡蝶と過ごす事を考えれば、自然と口元も緩み、笑みも零れる。
そいつから胡蝶がギンと何やら話してると聞き、急いで胡蝶の元へと行く。
俺が行けば、ギンは胡蝶に近づき、耳元で何か囁いた。
瞬時、胡蝶の顔は真っ赤になり俯いちまった。
焦った俺は、ギンと何話してたか問い質せば、『妬いた』と答えた。


俺ばっかりが胡蝶の事を好きだとばかり思ってて、その一言がほんとに嬉しくって。
俺はガキみたいに真っ赤になっちまった。
社を後にして、予約してたホテルへと急ぐ。



***


最高級ホテルも最上階。
窓際の席に、胡蝶と二人、最高の料理に舌鼓を打つ。
窓の外の夜景は、キラキラと輝いてて、うっとり眺める胡蝶の横顔に見惚れる俺がここに居る。
スッと席を立てば、胡蝶はどこへ行くの?と小首を傾げるが、お手洗いの方向へ指を向ければ、うん、と頷いて、また窓の外に目をやる。
窓の外の景色に軽い嫉妬を覚えるも、俺が席を外すには訳がある。







「佐々木様からです。」


と、ウエイターがデザートを私の分だけ運んできた。


「ありがとうございます・・・」


と、疑問に思いながらもお礼を言えば、ニコリと微笑んでウエイターさんは去って行った。
デザートに目を移し、小さな器に入った一枚の白い紙が目に入る。
そっと手に取れば、中には、


【俺を探して】


の、文字。


キョロキョロと周りを見渡せば、フッと暗くなる店の照明。
流れるピアノの調べは心地いい。
キャンドルの明かりの中に、真っ赤なバラの花束が浮き上がる。
それを持っているのが修兵さんだと気付くのに数秒。
もう私の目の前まで来てた。


「胡蝶・・・・・」


差し出されたバラの花束の中心に小さな箱が一つ。


「開けて。」


中を開ければ、薄暗闇の中でもひと際輝くダイヤモンドの指輪。


「修兵さん・・・・」
「貴井胡蝶さん、俺と結婚してくれますか?」
「はい////」


わっと湧き上がる歓声に私の涙は止まらず、修兵さんはそっと私を抱き寄せ、左の薬指にダイヤの指輪を嵌めてくれる。
人を愛することも、人から愛されることも初めてな私が、手に入れた最初で最後の最高の幸せは、一生続く永遠の愛。


修兵さんとの永遠の愛を誓う幸せなクリスマス、一生忘れることの出来ないクリスマス、今日と言う日にありがとう。




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