ゾッとするホラー短編集
〈 どうして小野田真理子が

ここにいるの?




小野田真理子は、

扉の向こう側に

いるはずでしょ? 〉






私は白いセーラー服を

血で赤く染また

小野田真理子の

青白い不気味な顔を見ながら

思った。






〈 来ないで!




お願い……。




あなたはもう、

死んだはずなのに…… 〉






私は訳もわからないまま

校舎の屋上を逃げ惑い、

やがて背中が

屋上の手すりに当り、

振り向いた。






屋上から校庭までは、

およそ15メーター。






私はその高さに、

思わずゾッとして

足がすくんだ。






「木嶋綾子さん、

今のあなたの気持ちを

私に教えて」






小野田真理子の悪霊が、

そう言ってニヤリと笑い、

私の首に両手をかけた。






〈 お願い、助けて!




私はもう、心を改めます。




私はもう二度と

他人を傷つけません 〉






私にはもう、

逃げ場所はなかった。






私の命は、

小野田真理子の気分一つで

消え去るかもしれず、

助かるかもしれなかった。






私は涙を流して、

小野田真理子に命乞いをした。






「お願い、許して!




小野田さん……」






次の瞬間、

私の体は屋上の手すりの

向こう側 に投げ出され

私の体は宙に舞った。
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