あの日、あの時、あの場所で。
「そうなんだ。
杏奈はあることを境にわらいもせず、泣きもせず…愛想笑いしか出来ない子供になってしまったんだ。」

「そんな…っ」

「…クソっ…」

「蓮。落ち着け。あることってなんですか…?」

「私の口からはとてもじゃないが残酷すぎて言えん…
ただ、ひとつだけ。ヒントをやるとしたら、雪希が関係している。
それしか言えん…。ただ。雪希は、悪者ではない。むしろ逆だ。」

「どういうことですか…!?」

「吉良さんも幸治おじいさまだって気をつけろとおっしゃっていたではないですか…!」

「新田さん。蓮。すぐにこえをあらげるな。」

「「ごめん…」」

「杏奈本人の口から聞きなさい…。
私にいう資格はないんだ。ごめんのぉ。
そこで、君たちにお願いだ。
杏奈の感情を戻して欲しいんだ。
お金ならいくらでも積ませる。
だから…どうか…っ!このとおりだ!
頼むっ!感情を戻してくれ…っ」

「幸治おじいさま。顔を上げてください。」
「実は、俺達、西川さんの笑顔を取り戻そうってみんなで話してたんです。
俺達、元々西川さんの笑顔が見たかったんですよ。」

「おじいさまが心配されるのもよくわかります。私たちに任せてください!」

「ふぉっふぉっふぉっ。
杏奈も良い友達を持ったみたいじゃのぉ。」

「お任せ下さい!」

「あぁ。もちろんだよ。
杏奈をよろしく頼むよ。」

「はい。」
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