不器用な愛を刻む
「俺の気持ち無視して自分だけ離れようなんざ…勝手すぎやしねェか椿…?ん?」
「っ……。」
善は妖しい笑みを浮かべながら
椿にそう告げる。
善は、笑みこそ浮かべているものの
その声には
怒りが混じっていて、
椿は思わず息を飲んで
善を見上げる──。
「っ………でも、私がそばにいたら
善様にまた迷惑を…!」
「誰が迷惑なんて言った?
俺が1度でも、そんなこと言ったことあったか、あ?」
───ビクッ!
椿の言葉に
善が怒りを込めた口調で
そう返すと
椿はその声に、思わず体をビクッとさせる。
しかし、それでも椿は
ビクビクしながらも
善に、言葉を続けた。
「っ……でも、大怪我をさせました。
私を助けようとして、半年も目覚められなかった…!」
椿は声を震わせながらも
必死に善へ気持ちを伝える。
(私のために……命を落としかけた。)
それへの罪意識と
もう2度と
あんな目に合って欲しくない思いという
2つが重なった結果が、あの答えだった。