不器用な愛を刻む






「善様に……あんなこと、もう二度と
起こってほしくないんです…!」









必死に声を絞り出して
善にそれを伝える。







すると善は

一度、目を伏せてから




目を開き




そして険しく眉を寄せて

椿を───見下ろした。










「…お前ェは、何もわかってねェ…!」

「っ…!」








善はそう言うと



椿の腕を掴んで
そのまま引っ張り───










───ドンッ!!









「…っ……!」









椿は突然腕を引かれ
壁に押し付けられた衝撃で

思わず小さく声を漏らす。





そして腕を善に壁に縫い付けられた。










「っ……善、様…。」








突然の善の行動に

椿は少し顔を歪めながらも
弱々しく善を見上げ、


彼の名前を呼んだ。







そんな椿に


善は、鋭い視線を向けたまま
怒鳴るように───椿へ、言葉を向けた。










「───俺には、お前が全てだった。」

「…!!」

「っ……死にかけるより何より、
お前ェが側にいない方が俺にとっちゃ苦痛なんだよ!!」










(───!!)









2人だけの部屋に

善の怒りの声が ただ響く。









初めて聞いた彼の本音に



椿は目を見開いて

彼の視線を…まっすぐに受け止めた。







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