不器用な愛を刻む
───バンッ!!!
するとそれと同時に
椿たちとは反対の方から
机が大きく叩かれる音が聞こえた。
それを聞いた景次が
椿から顔を離し、
ゆっくり後ろを振り向けば……
「──────おい…小僧。」
殺意にも似た
黒いドロドロとした
オーラを身に纏った善が
視線で射殺すように
鋭い視線を景次に向けて
ゆっくりと…立ち上がる。
「っ、ぜ…善様……。」
「2人とも裏に出ろ。
───今すぐに。」
以前に怒っていた時とは
比べものにならないほどの
恐さを出している善に
椿はビクッとしながら
小さく震える。
「……大丈夫、椿さん。俺がいる。」
「あ、あの、景次さ…。」
自分に任せておけ、という
景次の笑みに
椿は不安を抱きながらも
渋々それに従う。
しかし
3人で裏口に出た途端───
───ドスッ!!!
「うっ…!」
「っ、景次さん…!?」
善によって
景次は腕を思い切り引っ張られ
壁に投げつけられたと思えば
即座に
───手で首を捕まれ
壁に、押さえつけられた。