天使の梯子

私にとってあの人は初めての彼氏で、初めての人だ。


出会いはいわゆる合コンで、たまたま私の隣の席に座ったのがあの人だった。


瞳が、印象的な人だった。


射抜くような、なにもかも見透かされているような、そんな瞳。


あの頃は茶髪で髪も長目で、ちょっとチャラそうな人っていうのが第一印象。


正直、そのときはあの人のことを、なんとも思っていなかった。


チャラそうな人が苦手だったし、なんだか怖くて、どちらかというと苦手なタイプだと思っていた。


その時の流れで携帯の番号を交換して、次に会った時には、黒髪で髪も短くなっていてかなり驚いた。


だけど、それが私の好みのタイプにすごく近くて、現金なものでそれをきっかけにあの人のことを意識するようになった。


そして何回かグループで出掛けたりしてから、ふたりで遊ぼうと誘われて、何度目かのデートのあとにお付き合いを始めることになった。


あの人は、すごくモテる人で……そんな人がどうして私に付き合おうと言ったのかいまだにわからない。


好きだと言ってもらったことも、あまりなかったと思う。付き合い始めたときでさえ、好きとは言われなかった。


< 13 / 149 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop